KNOWLEDGEコラム
SNSの「広告運用代行」と「アカウント運用代行」は名前が似ていますが、業務内容は別物です。広告運用代行は広告費を使って配信を運用する業務、アカウント運用代行は投稿の企画・作成などアカウントそのものを育てる業務を指します。「SNSで売上を上げたい」という目的に対してどちらが合うかは、求める成果と時間軸によって変わります。
この記事でわかること
「SNSで売上を伸ばしたい」というご相談では、思い描いている施策がアカウント運用(投稿を重ねてフォロワーを増やす取り組み)に寄っていることがあります。SNSにはもう一つ、広告配信という手段があります。
SNS施策と聞いて思い浮かぶのは、投稿を作って発信し、フォロワーを増やしていく形ではないでしょうか。これはSNS活用の中心にある取り組みで、事業の顔をつくる役割を担います。
一方でSNSには、広告費を使って配信する手段もあります。届けたい相手を条件で絞り込み、予算に応じて配信量を調整できるため、早く成果につなげたい場合や、使う金額で結果を調整したい場合はこちらが目的に合うことがあります。
どちらが優れているという話ではなく、担う役割と結果が表れるまでの時間軸が異なります。発注の前に「何を得たいのか」と「どの手段を想定しているのか」が噛み合っているかを確認しておくと、進め方の認識がそろいます。まず2つの業務の内容を整理します。
広告運用代行とは、広告費を使って届けたい相手に配信を行い、数値を見ながら調整を続ける業務です。予算で配信量を調整でき、比較的短い期間で結果の傾向が見えます。
Instagram、X(旧Twitter)、LINE、TikTokといった媒体(広告が掲載される場所)に広告費を支払い、配信します。主な業務は次のとおりです。
成果は、CV(コンバージョン=問い合わせ・購入など、あらかじめ決めた特定のアクションが起きた数)や獲得単価(1件の成果を得るためにかかった広告費)で測ります。
注意点として、広告は配信している間は露出をつくれる一方、その成果が資産として積み上がりにくい性質があります。配信を止めると、広告経由のアクセスや問い合わせも止まりやすくなります。広告費を出し続ける前提で費用対効果を管理していく施策だと捉えておくと、予算の計画を立てやすくなります。
アカウント運用代行とは、投稿の企画・制作やアカウントの設計・改善、コメント対応などを行い、アカウントそのものを育てる業務です。フォロワーや信頼が資産として積み上がる一方、効果が見えるまでには時間がかかります。
成果は、フォロワー数やエンゲージメント(いいね・保存・シェア・コメントなどの反応)、投稿の表示回数などで測ります。積み上げた投稿とフォロワーは発信を止めても残るため、時間をかけて認知や信頼を育てる性質の施策です。
投稿を見た人がそのまま購入や問い合わせに進むこともありますが、そこに至るまでには一定の期間が必要になるのが一般的です。指名で検索される状態をつくることや既存顧客との関係を保つことは、広告では置き換えにくい役割です。
注意点として、投稿がどれだけ表示されるかは、媒体のアルゴリズム(投稿を誰にどれだけ表示するかを決める仕組み)に左右されます。広告のように予算で表示量を調整することができないため、表示のされ方を自分でコントロールしにくい面があります。アルゴリズムが変われば、同じ運用を続けていても反応が変わることがあります。
2つの違いは、目的・業務内容・費用の構造・結果が見えるまでの期間・使う指標・注意点の6点で整理できます。競合する選択肢というより、担当する領域が異なる施策です。
| 項目 | 広告運用代行 | アカウント運用代行 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 商品やサービスを届け、問い合わせ・購入につなげる | アカウントを育て、認知や信頼を積み上げる |
| 具体的な業務 | 配信の設計、広告素材の用意、配信中の調整、数値の報告 | アカウント設計、投稿の企画・制作、改善、コメント対応 |
| 費用の構造 | 広告費+運用手数料という形が多い | 月額固定という形が多い |
| 成果が見えるまでの期間の傾向 | 配信量に応じて、比較的早く傾向が見える | 積み上げが前提となり、時間をかけて表れる |
| 主に使う指標 | CV(問い合わせ・購入の件数)、獲得単価 | フォロワー数、エンゲージメント、表示回数 |
| 注意点 | 成果が積み上がりにくく、配信を止めると露出・アクセスも止まりやすい | 表示がアルゴリズムに左右され、表示量をコントロールしにくい |
※ 費用の構造は一般的な傾向であり、会社や契約によって異なります。
広告運用は「今、届けて動いてもらう」ことを、アカウント運用は「知られ、選ばれる状態をつくる」ことを担います。同じ場を使いながら、成果が立ち上がる時間軸が異なります。
売上やリード獲得(見込み客の獲得)が目的なのに、測る指標をフォロワー数に置いてしまうと、数字は伸びているのに成果が出ているのか判断できない状態になります。目的・手段・指標はセットで決まります。
ご相談の中でよく見かけるのが、次のような組み合わせです。
半年後、フォロワーは増えている。けれど売上は動いていない。施策がうまくいっているのかを社内に説明できない――という状態です。
ここで起きているのは、施策の良し悪しではなく、測るものと目的のずれです。フォロワー数は「アカウントがどれだけ育ったか」を測る指標であり、「いくら売れたか」を測る指標ではありません。増えたフォロワーが購入を検討する層と重なっているか、投稿から購入までの導線があるかは、この数字だけでは分かりません。
目的が売上やリード獲得であれば、指標はCVや獲得単価に置き、そのうえでどの手段でCVを積み上げるのかを決めます。アカウント運用を選ぶ場合も、フォロワー数と併せて、プロフィールからサイトへ移動した数や投稿を経由した問い合わせ件数といった目的に近い数字を見る形にすると、進捗を判断できます。
順番としては、①目的を決める → ②目的に合う手段を選ぶ → ③その目的を測れる指標を置く、という流れです。この3つが揃っていないと、報告を受け取っても成否を判定する基準がありません。指標の種類と、何を成果として測るかの決め方は、インターネット広告の発注前に知っておきたい5つの特徴の記事で整理しています。
判断は「何を得たいか(目的)」と「いつまでに必要か(時間軸)」の2つで整理できます。優劣を比べるのではなく、求めるものに近い方を選ぶ形です。
両方を並行できれば理想的ですが、予算や社内の体制に限りがある場合は目的の優先順位から決めます。直近の売上づくりが優先なら広告運用から、認知や信頼の土台づくりが優先ならアカウント運用から、という順番です。
片方を選んだあとで、もう片方を足していく進め方もあります。広告運用で反応の良かった訴求は投稿の材料になり、逆にアカウント運用で反応が集まった投稿を広告の素材に使う形もあります。一方を選ぶことが、もう一方を否定することにはなりません。
契約の前に、①どちらの業務の見積もりか ②業務範囲 ③何を成果として報告してもらうか の3点を確認しておくと、認識のずれを防ぎやすくなります。
「SNSをお願いしたい」という伝え方だと、受け手によって想定する業務が変わります。目的を1文で伝えたうえでこの3点を揃えると、提案を同じ条件で比べやすくなります。
アンドマーケティングでは、Meta広告をはじめとするSNS広告の設計・運用・改善を支援しています。支援範囲や進め方の詳細はサービスページをご覧ください。
サービス詳細を見る コラム一覧に戻る目的の整理から、広告とアカウント運用のどちらに重心を置くかの判断まで、状況に合わせてお手伝いします。
お問い合わせはこちら