KNOWLEDGEコラム
広告費の予算は「得たい広告効果(目標CPA・目標ROAS)から逆算して決める」のが基本です。CPA(問い合わせや購入など成果1件の獲得にかかる費用)とROAS(広告費に対して何倍の売上が得られたかを示す指標)のどちらを使うかは商材によりますが、「1件の成果にいくらまで払えるか」を先に決める点は共通しています。目標がまだ決められない場合は、1媒体あたり1日1万円程度でテスト配信し、実データをもとに予算を固めていきます。
この記事でわかること
広告予算は「いくら出せるか」ではなく「1件の成果にいくらまで払えるか」から逆算します。考え方は目標CPAと目標ROASの2つです。
問い合わせの獲得が目的なら目標CPA、EC(ネット通販)のように広告経由の売上を直接測れる商材なら目標ROASを使います。
CPA(問い合わせや購入など成果1件の獲得にかかる費用)の許容額は、「成約1件で得られる利益」と「問い合わせから成約に至る割合(成約率)」から計算できます。次は説明のための架空の数字です。
ここまで出せば、予算は掛け算で求められます。「月に問い合わせを30件ほしい」のであれば、1万円×30件=月30万円が目安です。逆に出せる予算が月15万円と決まっているなら、この条件では問い合わせ15件分が上限だと分かります。
ROAS(広告費に対して何倍の売上が得られたかを示す指標。売上÷広告費×100%)を使う場合は、粗利率(売上から原価を引いた利益が売上に占める割合)から「これを下回ると赤字になるライン(損益分岐ROAS)」を先に出します。こちらも架空の数字です。
※ 上記の数値はすべて説明のための架空の例です。実際には送料・決済手数料・人件費なども差し引いたうえで許容ラインを決める必要があり、適正値は業種によって異なります。
実績データがない段階では、1媒体・1日1万円程度(月30万円前後)で1〜2ヶ月配信し、実際に出た数値をもとに本予算を決める2段階の進め方が現実的です。
前章の計算は、成約率やクリック単価が分かっていて初めて成り立ちます。広告を出したことがない段階では、これらの数値は推測でしか置けず、精緻に計算しても机上の空論になりがちです。そこで最初の1〜2ヶ月は「本番」ではなく「測定期間」と位置づけます。
1媒体あたり1日1万円(月30万円前後)を目安に配信し、実際のCPC(クリック1回あたりにかかる費用)、CV(問い合わせや購入などの成果)の件数、そこから算出されるCPAを測ります。この実データが出てから、前章の計算式に当てはめて本予算を決めるという順番です。
この期間の支出は「成果を買う費用」ではなく「自社の数値を知るためのデータの購入」と捉えると判断しやすくなります。月30万円で、自社の商材が広告で獲れるのか、獲れるなら1件いくらかかるのかが分かるのであれば、その後の数百万円規模の判断の精度が上がります。逆にこの測定をせずに大きな予算を投じると、うまくいかなかったときに原因を特定する材料が残りません。
※ クリック単価(CPC)が高い業界では、1日1万円でも判断に足るデータが貯まらない場合があります。金融・不動産・人材・美容医療など競争の激しい分野では、クリック1回に数百円から数千円かかることもあり、1日あたりのクリック数が数件にとどまるためです。この場合は、テスト期間を長めに取るか、キーワードや配信対象を絞って1つの仮説の検証に集中する必要があります。
自社の業界でどの程度の予算が必要かは、過去の配信データを持つ代理店や支援会社に聞くのが早い場合もあります。業界・商材を踏まえた必要予算の見積もりは、多くの会社が無料の相談の範囲で出しています。複数社に同じ条件で尋ねれば、返ってくる金額の幅そのものが判断材料になります。
1日1,000円程度の配信では、媒体側の最適化も検証に足るデータも進まず、「効果がなかった」という誤った結論だけが残りやすくなります。
運用型広告は、配信を重ねながら「どういう人に配信すると成果につながりやすいか」を媒体側のシステムが学習していく仕組みです。この学習には一定量の成果データが必要で、媒体によっては「一定期間内に成果◯件以上」といった目安が示されています。1日1,000円ではクリックが1日数回、成果はゼロという状態が続き、学習が進まないまま期間だけが過ぎます。
検証する側にとっても同じです。1ヶ月配信して問い合わせが1件だった場合、その1件が実力なのか偶然なのかを判断できません。少なすぎるデータからは「効果がなかった」という結論しか出せず、本当は広告文やリンク先ページに原因があった場合でも、それを特定できないまま撤退することになります。
つまり少額配信の問題は、成果が小さいことではなく判断ができないことです。予算が限られる場合は、金額を薄く広げるのではなく、期間を区切って1媒体・1商材に集中させるほうが、同じ総額でも得られる情報は多くなります。
配信を始める前に「受け皿」「計測」「判断基準」の3つを整えておくと、テストに使った予算が判断材料に変わります。いずれも自社で準備できる範囲です。
LP(ランディングページ。広告のリンク先となる、1つの商品やサービスを説明するページ)が整っていないまま配信すると、クリックは集まっても問い合わせには至りません。会社案内のトップページに広告を送っているケースが見られますが、訪問者は「広告で見た内容の続き」を探しているため、それがすぐ見つからないと離脱します。最低限、広告の訴求と一致する内容が最初の画面にあること、問い合わせ先が分かりやすい位置にあることを確認してください。
問い合わせフォームの送信が計測できていなければ、CPAは算出できません。広告媒体の管理画面とサイトを連携させる設定(コンバージョン計測タグの設置)は、配信開始前に必ず済ませておきます。電話での問い合わせが多い業種では、電話番号のクリック数を計測対象に含めるかも決めておきます。媒体が用意している管理画面から無料で設定できる範囲なので、外注せず自社で対応することも可能です。
配信を始めてから「この数字は良いのか悪いのか」を考え始めると、判断が感覚に流れます。テストの前に「CPAが◯円以下なら継続、◯円を超えたら広告文を変える」といった線引きを、最初の章で出した逆算をもとに決めておきます。数字を先に決めておけば、結果が出たときに迷わず次の判断に進めます。
外部に運用を依頼する場合、支払う金額は「広告費+運用手数料」の合計になります。予算を考えるときは、この2つを分けて把握しておく必要があります。
広告費はGoogleやMetaなどの媒体に支払う配信費用、運用手数料は代行する会社に支払う費用です。手数料は広告費に対する料率型(一般的には広告費の20%前後とされることが多い)か、月額固定型が中心です。
たとえば月30万円のテスト配信を料率20%で依頼する場合、実際の支出は広告費30万円+手数料6万円=36万円となります。少額の場合は最低手数料額が設定されていることも多く、料率で計算した金額より負担が大きくなるケースもあります。手数料の考え方や依頼先を選ぶときの確認ポイントは、広告運用代行とは?費用相場・メリット・失敗しない選び方で詳しく整理しています。
なお、テスト段階は自社で運用し、方向性が定まってから外注する進め方もあります。1媒体・少額であれば、媒体側が用意している設定の案内を見ながら自社で始めることも可能です。手数料の分をそのまま広告費に回せるため、まず自分で試してみたい場合には現実的な選択肢になります。
アンドマーケティングでは、Google・Metaなどの運用型広告を媒体や商材に合わせて設計・運用・改善しています。予算規模の見立てやテスト設計の段階からご相談いただけます。
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